フォーティファイド ワインとはどういうものか
フォーティファイド ワインとは、醸造の途中でブランデーやアルコールを加え、ワインのアルコール度数を15~22%程度まで高めたものです。
ポルトガルの「ポート ワイン」、スペインの「シェリー」、ポルトガルマデイラ島の「マデイラ」、イタリアの「マルサラ」を加え、「世界4大フォーティファイド ワイン」と呼びます。
「fortified wine」は、「酒精強化ワイン」ともいわれ、ブドウ果汁や発酵中のワインに、グレープ スピリッツ(ブドウを原料とした蒸留酒)を加えて造ります。
暑い地域で、アルコール度数を高くすることでワインの変質を防ぐのが目的だったようですが、保存性がよくなったため、船便での輸送もできるようになり、スペインやポルトガルでイギリスへ輸出するために発達したものともいわれています。
食前酒や食後のデザートワインとして飲まれ、また、料理やお菓子造りにも利用されています。
フォーティファイド ワインの造り方
アルコール発酵まではワインと同じですが、発酵の途中でグレープ スピリッツを加えます。
糖が多く残っている段階で加えると、甘口でアルコール度数の低いワインになります。
完全に発酵させた後に加えると、辛口でアルコール度数の高いワインになります。
発酵工程の前の果汁の時に加えて造る方法もあります。
半年から2年くらい貯蔵するのが多いのですが、それ以上貯蔵するものもあります。
濁りを取るために清澄、ろ過した後瓶詰めします。
瓶詰めした後、さらに10年以上、長期熟成させるワインもあります。
フォーティファイド ワインの種類
ポート ワイン
ポルトガルを代表するフォーティファイド ワインで、ポルト市が生産地です。日本の「赤玉ポートワイン」とは、全く違うものです。
ブドウの発酵途中で77%のグレープ スピリッツを加えて発酵を止めます。
黒ブドウから造るルビータイプとトゥニータイプ、白ブドウから造るホワイトタイプ、長期熟成したヴィンテージポートがあります。
ブドウは、トウリガナシオナル種などの伝統的な品種おもにが使われています。
マデイラ
ポルトガルのマデイラ島で造られるフォーティファイド ワインです。
発酵途中で96%のグレープ スピリッツを加え、アルコール度数を17~22度くらいに調整し、
オーク樽に詰めた後、エストゥファと呼ばれる室温、または太陽熱を利用するというほかにはあまり見られない方法で造られるのが特徴になります。
冷却した後、最低でも3年熟成させます。
マルサラ
イタリアのシチリア島で造られています。
18世紀にイギリスの商人が長旅に耐えられるワインを造ったのが始まりといわれています。
白ワインにグレープ スピリッツを加え、アルコール度数は17~22度くらい。
食前・食後酒、料理用として使われることが多いようです。
フランスのフォーティファイド ワイン
フランス南部のコートデュローヌ、地中海に面したスペインの国境よりのラングドッグ、ルーション地方で造られている甘口のワインで、ブドウ本来の甘みがほんのりと感じられるのが特徴です。
ヴァン ドゥ ナチュレル(VDN)
発酵途中にグレープ スピリッツを加え、糖分が多く残るので甘口になります。アルコール度数は16~18度程度です。
赤、白ワインともにあり、熟成期間も、長いものから短いものまでさまざまなタイプがあります。
AOCワインも多くあります。
ヴァン ドゥ リキュール(VDL)
発酵前のブドウ果汁にグレープ スピリッツを加え、樽熟成させます。
地区によって加えるスピリッツが異なり、マールやアルマニャックを加えるものもありますが、コニャックやカルヴァドスなどのブランデーの産地で造られるものが有名です。
ルナリアの微発泡オレンジワイン
アカデミー・デュ・ヴァンの講師から大人気&大絶賛のイタリア・アブルッツォ州産のオレンジワインのスパークリングワイン!
ブドウを果皮と共に発酵し、発酵途中で瓶詰めしてしまうアンセストラルという手法を用いて、ブドウの香りと旨味、酵母のエネルギーをすべてこの瓶の中に集約したナチュラル・スパークリングワインです。
シェリー
バルセロナがあるスペイン南東部、アンダルシア地方特産のフォーティファイド ワインです。
ヘレス地区を中心に、認定地域だけで造られ、アルコール度数は15~17度くらいで、甘口、辛口ともに造られています。
パロミノ種、ペドロ ヒメネス種、モスカテル種を天日に干して、干しブドウにしてからワインを造ります。
発酵させた後にオーク樽で熟成させますが、 樽に入れるとき、上部にスペースを残しておくと、ワインの上面に酵母のはたきで被膜ができます。
この被膜がワインの酸化を防ぎ、シェリー独特の香りを生み出します。
この膜は白い色をしていて、フロール(花)と呼ばれますが、この膜によって生み出される芳醇な香りをフロール香といいます。
ブランデーを加え、発酵を止め、ソレラ システムといわれる方法で熟成させます。
* ソレラ システム / ワイン樽を貯蔵するとき、下から古い樽の順に重ねていきます。出荷するとき下段から汲んだ分だけ、上段の新しいワインで補填します。これによって樽の熟成状態が均一に保てるようになります。
おもなシェリーの種類