ワイン王国、フランス

フランスは、自他ともに認める世界一のワイン王国ですが、生産量ではイタリアに次いで第2位です。
しかし、ワインの質や完成度では、絶えず世界の目標となっています。
優れたワインを生み出している理由は、ブドウの栽培に適した気候、風土、土壌にあります。
フランスワインの歴史
紀元前600年ごろ、古代ギリシャ人によってブドウが伝えられたといわれています。
1~4世紀にかけて、ローマ帝国の領土の拡大とともに、フランス各地でブドウが栽培されるようになり、各地方ごとにその地に適したブドウが栽培されるようになりました。
8世紀に、シャルルマーニュ大帝がワイン造りを奨励したので、各地でワイン造りが盛んになりました。
1855年にボルドーのメドックとソーテルヌ地区でシャトー(醸造元)の格付けがされます。
それが1935年に原産地統制呼称の制定になっていきます。
品質維持と原産地統制呼称(controlled appellations)
19世紀の終わりごろから、フランスで、有名な産地のワインを水増しして売ったり、産地を偽装したワインが横行したので、生産者たちが抗議し、原産地統制呼称法(AOC法)が制定されました。
これにより、ワインの表示に対し、栽培地域、ブドウの品種など様々なことが規制されるようになり、不当な表示をしたワインは取り締まられて、ワインの品質に対する信用が高まりました。
これに倣い、ヨーロッパ各国で自国のワイン法を定め、EUも独自のワイン法を定めています。
EU、アメリカのAVA、イタリアはDOC、スペインではDCなどで、国の定めた地理的境界でブドウ栽培された地名で表示されます。
AOC法(apellation d'origine contrôlée)
フランスでは国が定めたワイン法(AOC)以外に、ワインの産地ごとに、地域性に基づいた独自のAOCを定めているところもあります。
また、生産地域をどこで線引きするかで様々な対立がおこり、シャンパーニュでは暴動になったこともあるそうです。
産地別の特色
フランスのワインの産地として有名なのは、ボルドーとブルゴーニュです。
栽培するブドウの品種、風味、貯蔵法から瓶やグラスの方の形まで違います。
フランスワインを味わうのに、2つを飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。
他の地域にもテロワール(気候や土壌などの地域性)を活かしたワイン造りが行われています。
ボルドー
ボルドーは、フランスの南西部、3つの流域に広がる海洋性気候の地域です。
栽培されているブドウの品種は主にカベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フランなどで、造られているワインの8割が赤ワインで2割が白ワインです。

ボルドーでは造り手の大半に「シャトー」と名がつけられています。
シャトーはブドウの栽培から醸造までを自家で行い、複数の品種をアッサンブラージュ(ブレンド)して自家の個性を明確に出せるワイン造りをしています。
天候不順やほかの理由でブドウの出来が悪いときでも、いいブドウのできた年のワインとアッサンブラージュすることで、品質を落とさずにワインを造ることができます。
このシャトーにも、地区ごとの格付けがあります。
赤ワインの特徴は、酸味と渋み、果実味がバラバラよくアッサンブラージュされ、上品な味わいの赤ワインが造られています。また、料理と合わせやすく、長期熟成ができるワインが多く、ボルドー人気を支えています。
白ワインも同様にアッサンブラージュで造られています。酸味がしっかりした、上品な味が特徴です。
この地方はいくつかの地区に分かれていますが、それぞれの土質に合った品種を主に、多品種をアッサンブラージュして完成度の高いワイン造りがなされています。

ボルドーワイン用に、ボルドータイプのグラスがあります。
ボルドーワインは、空気に多く触れさせると味が変化するという特性があります。
やや直線的で広めの飲み口なのでワインが空気に触れやすくなり、渋みを和らげてくれます。


右岸と左岸
ボルドーを流れる川によって、大きく右岸と左岸に分けられます。
右岸は石灰分を含む粘土質の土壌で、小規模なシャトーが多く、芳醇さが特徴のメルロ種に、タンニン、酸味を補うためにカベルネ種を加えています。
特にポムロー地区は、濃密で絹のような柔らかい舌触りで、熟成したワインは、官能的とも表現されることがあります。
左岸は砂利質の土壌で、大規模なシャトーが多くなっています。おもにカベルネ種ですが、まろみを出すためにメルロー種を加えています。
マルゴーの隣に位置するラバルドにあるシャトー・シランのセカンドワインです。
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ワインの歴史、生産量、どれをとっても世界を圧倒している産地ボルドー。
ブドウ栽培に最適な条件が揃いに揃った世界的銘醸地として、多くのワインラヴァー達を魅了し続けています。
本格的にボルドーワインを自社輸入したパイオニア、エノテカが自信を持っておススメする手頃な価格ながらも高い品質を誇る優良銘柄を、普段飲みワインとして、ボルドーを知るきっかけの1本として、是非お楽しみください。
ブルゴーニュ
フランス中部のやや東寄りにある食の都といわれるディジョンの西部に、南北に広がる地帯が、ブルゴーニュです。
辛口の白ワインで有名な北のシャブリから、ヌーヴォーで日本でも人気の南のボジョレーまで、約300㎞ほど細長く広がっています。

ワイン造りの歴史は古く、ローマ時代までさかのぼります。
ブルゴーニュが今日のように有名になったのは、修道院の僧侶たちの努力によるものです。
畑の開墾、ブドウの栽培、醸造方法の改善などが修道僧たちの主導で進められ、品質の高いワインが造られてきました。
ブルゴーニュ ワインといえば、ピノ ノワールの赤、シャルドネの白、ガメイの赤といわれています。
ブドウの単一品種から造るのが特徴で、小さな畑がいくつもあり、畑ことに格付けされています。
栽培されているおもな品種は、赤はピノ ノワールとガメ種、白ワイン用はシャルドネ、アリゴテ種です。
ブルゴーニュAOCは、ワイン造りに適した条件により、地域、村、畑ごとに決められていますが、
特級畑は「グランクリュ(GrandCru)」、1級畑のAOCは「プレミエールクリュ(PremierCru)」、
その下の格付け、村名なら「コミュナル(Communales)」となり、ラベルに表記することができます。
畑を所有し、栽培醸造も行うドメーヌといわれる小規模な造り手が多く、家族経営もあります。
「ロマネ コンティ」で有名なドメーヌ ドゥ ラ ロマネ コンティは、ヴォーヌ ロマネ村にある特級格付けされた畑で、
「ロマネ」はこの畑を作った古代ローマ人に、「コンティ」は1760年にこの畑を所有したコンティ侯爵から来ています。

ブルゴーニュワインは芳醇な香りを楽しむワインです。
グラスも香りを逃がさないように大きく口のすぼまったタイプのグラスが合います。
飲むときにも口をすぼめないといけないので、舌の上に細い流れになって入っていくので、味のバランスや香りが楽しめるようになっています。

フランス銘醸地として名高いブルゴーニュですが、
ボージョレ―地区以外の赤ワインは、主にピノ・ノワール、
白ワインはシャルドネの単一ブドウ品種から造られ、
造り手の個性を感じる味わいを堪能することが醍醐味となっています。

シャブリ地区
ブルゴーニュ最北の地区で、石灰岩の土壌はシャルドネに最適といわれ、独自のミネラル風味を持った切れの良い白ワインができ、辛口白ワインの代名詞のようになっています。
AOCは4つに分かれています。

コート ドゥ ニュイ地区
コート ドゥ ボーヌと合わせて、コート ドール(黄金の丘)と呼ばれ、最高格付けの畑が多い地区。
特にピノ ノワール種を使った上質の赤ワインが造られています。
世界的に有名なロマネ コンティは、この地区での特級畑のAOCです。

コート ドゥ ボーヌ地区
赤、白ともに生産されていますが、白ワインは、モンラッシェ、シャルドネ種を使った世界的にも有名な白ワインが生みされています。
赤ワインも有名で、特に「王のワイン」と呼ばれているヴォルネイを生み出した地区です。

ボジョレー地区
日本でも人気のヌーヴォーが有名で、ボジョレーで作られるガメイ種はこの地で造られるとフルーティーで飲みやすいワインになります。
ブドウを房のまま密閉タンクで発酵させ、炭酸ガスを加えて速く作る方法がとられています。

環境を保全する農法で造られるワイン
土壌の微生物の減少に生産者たちの関心が集まり、化学肥料をできるだけ使用しない栽培方法が広まり始めています。
除草剤や化学肥料などを減らし、土壌のポテンシャルを高める農法のリュット レゾネ。
化学肥料をたい肥に変え、カビを防ぐために植え方に工夫し、日光の当たり方や通風をよくしたりする有機農法のビオロジック。
有機農法と、天体の動き、月の満ち欠けなどの影響で植樹や収穫時期などを決めるビオディナミなどの農法があります。
ビオディナミは非科学的ですが、ドメーヌル フレーブや、ドメーヌ ルロワなどの優れたワインを造っている製造者が取り入れています。
他のワインの産地
コートデュローヌ、ロワール、アルザスなどの産地は、
こちら。
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