ドイツワインの特徴
ドイツのワインの産地は、ほとんどがライン川とその支流のモーゼル、マイン川流域にあります。
白ワインが生産の半分以上を占めていますが、特に粒が小さく寒さにも強いリースリング種は、収穫時期が遅くなるほど糖分が増し、甘口の柔らかな酸味の高級な白ワインが造られています。
特にモーゼル地区とラインガウ地区は、優れたワインの産地として知られています。
ドイツのワイン法
ドイツのワイン法は、地域別だけでなく、甘さ辛さの度合によっても分けられる独自の格付け基準があります。
EU法でのVQPRD(保護伝統表記ワイン)に当たる地域指定優良ワインは、
肩書付上質ワイン(QmP)と特定産地上質ワイン(QbA)とに分かれています。
テーブルワインに当たるものが「Landwein(26の生産地域指定ワイン)」と 「Deutscher Tafelwein(ドイツ産ワイン)」になります。
果汁の糖度基準
収穫時のブドウ果汁の糖度(エクスレ度)で示され、数値が高いほど糖度・格付けが高くなります。
トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)
最低エクスレ度150~154。
最低アルコール度5.5%。
貴腐菌(ボトリティス・シネレアBotrytis cinerea菌)が付いて、 干からびたブドウから造られます。 糖度も高く極甘でかつ香りの強いワインとなります。
アイスヴァイン(Eiswein)
最低エクスレ度110~128。
「氷結摘み」といわれるワイン。
自然の状態でに凍結しているブドウから造られます。氷結するまで待つため、遅摘みで完熟したブドウになります。糖や酸は濃縮され、極甘口にですが、貴腐の香りはしません。
カナダとドイツでしかできないワインです。
ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese)
最低エクスレ度110~128。
最低アルコール度5.5%。
Beerenhaは粒のことで、「粒選り」の意になります。貴腐菌のついたブドウを選んで収穫したものでつくるので、 極甘口のワインになります。
アウスレーゼ(Auslese)
最低エクスレ度83~105。
最低アルコール度7%。
完熟したブドウの「房」を選んで摘み取り、作られる甘口ワイン。
シュペトレーゼ(Spätlese)
最低エクスレ度76~95。
最低アルコール度7%。
遅摘みのブドウから造られるワイン。その品種の収穫時を遅らせ、熟した状態にして摘み取ります。
カビネット(Kabinett)
最低エクスレ度70~85。
最低アルコール度7%。
熟したブドウから造られるワイン。
モーゼル 地域
ドイツを代表するワインの産地です。
白ワインが中心で、リースリング種が多く栽培されていますが、モーゼル特有の土壌が、ほかの地域とは異な風合いを醸しています。
ベルンカステル地区にある、かつて大司教がこの畑のワインを飲み、病が回復したのでドクトール(医者)と名づけられた畑で造られるワインが有名です。
ザール地区の栽培されるリースリング種は、ザール リースリングと呼ばれ、高品質の白ワインが造られています。
ラインガウ 地域
川沿いの南向き斜面に40㎞はど広がる、ワインの名産地です。
リースリング種がほとんどで、ドイツを代表する高品質の白ワインが生産されています。
フランケン 地域
フランクフルトの南東部に位置し、ドイツ最古のワインの産地といわれています。
ミューラートゥルガウ種、シルヴァーナ種主な栽培品種で、辛口の白が知られています。
このページは、主に下記の2書を参考にさせていただきました。
より詳しく知りたい方には、図版も多くわかりやすい説明の両著をおすすめします。
ナツメ社、井出勝茂監修、「最新版 ワイン 完全バイブル」
成美堂出版、木村克己監修「ワインの大事典」